トラリピを始めると必ずと言っていいほど名前を聞くことになるトラリピ鈴さん。
鈴さんはトラリピをはやくから始め、30代にして億り人になりFIREを達成したというすごい人です。
そんな鈴さんはブログで自分の設定と運用方法を公開されています。
鈴さんの設定はトラリピを始める上での考え方など参考になる部分が多いです。
ただし今になってわかるのは鈴さんの設定には初心者には難しい点もあるということ。
この記事ではそんなトラリピ鈴さんの設定と運用方法を独自視点で考察してみます。
また、記事の最後には私が考える最強設定もご紹介します。
1.トラリピ鈴さんの設定と運用方法を考察
トラリピ鈴さんの設定と運用方法を独自目線で考察します。
果たして同じ設定にすれば、同じように誰でもセミリタイアできるようになるのでしょうか?
トラリピ鈴さんとは
トラリピ鈴さんは、「不労所得でセミリタイアを目指す30代のブログ」というブログを運営されているトラリピ投資家の方です。
- 早くからセミリタイアを目指し投資、500万円を溶かしたこともあるとのこと。
- 2016年3月からトラリピを本格的に開始。
- 順調に利益を積み上げる
- トラリピ開始2年半後の2018年9月に貯金2500万円を達成し会社を退職。
そんな、うらやましい鈴さんですが、ブログでトラリピの設定と運用実績を事細かに公開されています。
トラリピ鈴さんの設定と運用法の概略
トラリピ鈴さんの設定「ワイドレンジ戦略」の概略は次の通りです。
対象通貨ペア | 7通貨ペアに分散投資 ユーロ/円、ユーロ/英ポンド、豪ドル/円、豪ドル/NZドル、NZドル/米ドル、カナダドル/円、米ドル/カナダドル |
仕掛けるレンジ | 過去15年のチャートの最高値、最安値で囲まれた範囲を設定レンジとする リーマンショック級のレート域まで設定レンジに含める (一部通貨では例外あり) |
トラップ値幅 | 基本的に10pips(豪ドル/NZドルのみ5pips) |
買い売りどちらか | レンジ真ん中で切り替えるハーフ&ハーフ戦略 |
トラップ本数 | 買いと売り合わせて300~600本(通貨ペアにより異なる) |
1本あたりのロット | 1000通貨単位 |
トラリピ鈴さんの設定を簡単に考察すると以下の通りです。
以上を一言でまとめると、
リーマンショック級のショック相場まで見越した安全設定だが、ある程度の利益も出るようトラップ本数を増やしているため、必要資金が増大している
このあともう少し詳しくメリットデメリットをレビューしていきます。
2.トラリピ鈴さんの設定のメリット
トラリピ鈴さんの設定のメリットは次の4つです。
- 複数通貨ペアに分散投資しリスクを低減
- 複数通貨ペアに分散投資し機会損失を抑制
- 設定レンジを広くとることで安定した資産形成ができる
- ハーフ&ハーフ戦略で投資効率をアップ
詳しく解説します。
複数通貨ペアに分散投資しリスクを低減
7種類の通貨ペアに投資を分散することで、リスクを分散しています。
たとえ、一つの通貨が一方的に値上がり or 値下がりしても、含み損の増え方は限定的で、ロスカットのリスクは低くなります。
ただ、逆に言えば、7通貨ペアの一つでも一方的に大きくレートが動き続けると投資資金がその1通貨ペアのためにロックされかねないリスクもあります。
実際鈴さんも、以前はトルコリラ/円も運用されていましたが、一方的にレートが動き続けるため、ある時期に損切りして撤退されています。
レバレッジを利かせるFXの場合、絶対安全ということはなく、ロスカットリスクには常に注意しましょう。
複数通貨ペアに分散投資し機会損失を抑制
トラリピの場合、複数通貨ペアに分散投資するメリットはこちらのほうが大きいです。
トラリピではレートが設定レンジを超えると、利益を生まなくなります。
この期間が機会損失になります。
分散投資することで、たとえ一つの通貨ペアがレンジアウトして決済が無くても、ほかのレンジ内の通貨ペアで利益を上げ続けることができます。
安定的に利益を出しやすいという点で複数通貨ペア投資のメリットは大きいです。
設定レンジを広くとることで安定した資産形成ができる
トラリピ鈴さんの設定では過去15年のチャートを見返して、その中での最高値と最安値の間にトラップを広く設定する方法を取っています。
この中には、大きなショック相場であるリーマンショックや、コロナショック、ウクライナショックなども含んでいます。
つまり、今後リーマンショック級のショック相場が来ても、利益を出し続けることができる設定になっているということです。
トラリピ鈴さん自身も自分の運用方法を「年金づくり」と例えています。
その言葉通り、いかに安定して資産形成できる設定になっているかが分かります。
ハーフ&ハーフ戦略で投資効率をアップ
広い設定レンジを、売りか買いのどちらかだけで運用すると大きな運用資金が必要になります。
それを回避するため、ハーフ&ハーフ戦略を取っています。
ハーフ&ハーフ戦略は設定レンジの真ん中のレートで売りと買いを分ける戦略です。
安値圏では買いで、高値圏では売りで仕掛けます。
これによって必要資金は1/3に抑えられます。
一方、売りか買いだけであれば、レンジアウトリスクは安値側か高値側かのどちらかだけになりますが、
ハーフ&ハーフ戦略では、安値側も高値側もどちらもリスクを持つことになります。
これが、ハーフ&ハーフ戦略の注意点です。
3.トラリピ鈴さんの設定のデメリット
トラリピ鈴さんの設定のデメリットは次の4つです。
- 複数通貨ペア分散と広い設定レンジのため投資効率が悪い
- まとまった投資資金が必要
- 複数通貨ペア投資のため管理の手間がかかる
- 円ベースの通貨ペアが3つあり円の動きに左右されやすい
詳しく解説します。
複数通貨ペア分散と広い設定レンジのため投資効率が悪い
複数通貨ペアに投資をすると、必然的に資金効率は悪くなります。
なぜなら、値動きが激しく売買を繰り返して利益を上げるトラリピ向きの通貨と、値動きが緩やかでトラリピ向きではない通貨のどちらにも投資することで、利益が薄まるためです。
複数通貨ペアに分散投資するより、最もトラリピ向きの通貨に1点投資するほうが利益率は高くなります。
また、一つの通貨内でも、広くレンジを設定すると、狭くレンジを設定するのに比べて資金効率は悪くなります。
なぜなら、同じ資金でレンジを広くしようとすると、次のどちらかになり、いずれにしろ利益は減少するためです。
- 決済値幅を広くする → 決済回数が減る
- 1注文当たりのロットを下げる → 決済額が減る
このように、鈴さんの設定では複数通貨ペアへの分散投資と広い設定レンジのため、資金効率は高くないです。
まとまった投資資金が必要
鈴さんは2000万円を用意して運用しているとおっしゃっています。
これは安全を見越して余裕をもって入金しているので、実際に必要な最低資金はもう少し低くなります。
それでも直近の2023/6時点では15,819,367円(証拠金+含み損)の資金が必要になるとのことでした。
このように、鈴さんの設定では多額の資金が必要になります。
もちろん、通貨ペアを絞ったり、トラップ値幅を広げれば、投資資金は抑制することができます。
ただし、そうすると安定性や毎月の収益も減ってしまい、「年金づくり」という鈴さんの戦略からは外れてきます。
複数通貨ペア投資のため管理の手間がかかる
7通貨ペアに投資しているため、日々の確認や管理の手間がかかります。
1通貨ペアならシンプルに対象2国間の経済動向を追えばいいのです。
一方、7通貨ペアとなると、世界経済の動きがどれかの通貨ペアに影響を与える確率が上がり、
常に経済ニュースに気を配る必要があります。
また、どの通貨ペア同士が値動きの相関があるか、もしくはないか、など予測したり考えることも増えます。
特に設定を変更したり撤退したりする場合は、複雑な計算が必要です。
トラリピにある程度の時間が使えて、マメに口座や経済ニュース確認できる人なら問題ないでしょう。
ただ、手間をかけずに資産形成というトラリピのコンセプトを生かすには、やはり投資通貨ペアは少なく抑えたほうがいいです。
円ベースの通貨ペアが3つあり円の動きに左右されやすい
鈴さんの投資対象は、7つ中3つが円ベースの通貨ペアとなっています。
つまり、円の動向に影響を大きく受けやすいということです。
円は世界の中で安定通貨と見られており、経済が不安定の時は買われ、景気が良くなると売られる傾向にありました。
ただ、近年は日本の国力の問題で、極端な円安基調になっています。
つまり円ベースの通貨ペアの動きが予測しづらくなっているということです。
このように、せっかく7通貨ペアに分散投資しても、円に関連する通貨が3つあるので円の動きに大きく振られる設定になっています。
4.私の最強設定
以上、鈴さんの設定を考察してきましたが、結論私は別の戦略を取っています。
この章では私が考える最強設定をご紹介して鈴さんの設定と利益率を比較してみます。
私の最強設定
ずばり、私が考える最強設定はこちらです。
運用資金 | 200万円 |
通貨ペア | 豪ドル/NZドル(1通貨ペアのみ) |
売り設定 | レンジ:1.0605~1.11 注文金額:0.2万通貨 トラップ本数:100本 (トラップ値幅:0.0005) 利益値幅:0.008 決済トレール・ストップロス:なし |
買い設定 | レンジ:1.0105~1.06 注文金額:0.3万通貨 トラップ本数:100本(トラップ値幅:0.0005) 利益値幅:0.008 決済トレールなし・ストップロス:なし |
最強設定が最強な理由
この設定が最強な理由はこちらです。
- 豪ドル/NZドルは変動幅が狭い
- 豪ドル/NZドルは上下限突破リスクが低い
- 豪ドル/NZドルはリピート数が多い
- 投資効率の高いハーフ&ハーフ戦略
すべてトラリピで投資効率を上げるのに重要な要素です。
この設定についての詳しい解説はこちらの記事をご参照ください。
鈴さんの設定と最強設定の利益率比較
現在の鈴さんの設定と、私の最強設定で利益率を比較してみます。
6か月のデータでの数値はこちらです。
▼鈴さん設定
運用月 | 必要資金(証拠金+含み損) | 決済利益 | 月利 |
2022/11 | ¥13,458,307 | ¥457,487 | 3.4% |
2023/01 | ¥9,754,719 | ¥442,955 | 4.5% |
2023/02 | ¥12,674,774 | ¥180,041 | 1.4% |
2023/03 | ¥12,139,157 | ¥404,440 | 3.3% |
2023/04 | ¥15,267,099 | ¥186,026 | 1.2% |
2023/05 | ¥15,819,367 | ¥282,408 | 1.8% |
平均 | ¥13,185,571 | ¥325,560 | 2.5% |
▼最強設定
運用月 | 必要資金(証拠金+含み損) | 決済利益 | 月利 |
2022/11 | ¥131,250 | ¥99,661 | 75.9% |
2023/01 | ¥826,850 | ¥42,434 | 5.1% |
2023/02 | ¥783,233 | ¥32,729 | 4.2% |
2023/03 | ¥386,915 | ¥87,187 | 22.5% |
2023/04 | ¥409,618 | ¥63,652 | 15.5% |
2023/05 | ¥543,758 | ¥116,503 | 21.4% |
平均 | ¥513,604 | ¥73,694 | 14.3% |
(※2022/12はスワップ振替のため正しく比較できなかったので省略)
2022/1~2023/5の6か月の平均利益率
鈴さん設定 2.5%
最強設定 14.3%
最強設定のほうが利益率に関しては高いことが分かります。
一方、これはたまたまこの時期の相場が豪ドル/NZドルに向いていただけという可能性もあります。
また今後はどうなるかは誰にもわかりません。
トラリピにおいては、客観的事実から自分で納得して設定を決めることが大切です。
5.トラリピ鈴さんの設定と最強設定が向いている人
以上の考察から、トラリピ鈴さんの設定と私の最強設定がそれぞれ向いている人はこんな人です。
6.まとめ|鈴さんの設定は安定的でコツコツタイプだが別の戦略もあり
この記事では、トラリピブログの先駆者である鈴さんの設定と運用方法を考察しました。
鈴さんはトラリピ歴が長く、考え方や運用方法から学ぶところがたくさんあります。
一方で、鈴さんの設定ではまとまった投資資金が必要になるなど、そのまま真似するのは難しい人もいらっしゃるでしょう。
そういった人に向けて、私が考える最強設定もご紹介しました。
豪ドル/NZドルの1点投資という点で、鈴さんよりリスクを取っていますが、その点投資効率を上げられます。
それぞれの設定のメリットとデメリットを十分理解した上で、納得のいく設定でトラリピを始めましょう。
トラリピは口座開設は無料で手軽にできます。
納得いく設定が見つかったら投資機会を逃さないようすぐに始められるよう、口座開設は先に済ませておきましょう。